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【対談】はるまきごはんの創作の原点と影響を受けた音楽【前編】


クリエイターの友人をお呼びして対談する企画第1弾。

第1回はゲストに、今最もノリに乗っている新進気鋭のボカロP、はるまきごはんをお呼びして、音楽のルーツや、何故VOCALOIDの世界に飛び込んだのか等を、赤裸々に語っていただきました。

 

ゲスト:はるまきごはん(@harumaki_gohan)

音楽 絵 映像 などやってます。がんばります

司会:しーくん(@seeeeecun)

曲を作るサラリーマン

 

▼「ボカロ音楽はいっぱいある音楽ジャンルの中の一つ」として最初からあったもの

しーくん(以下、し):2018年対談企画。第一発目のゲストは「絶対はるまきごはんくんがいい!」と思って今回ゲストにお呼びしました。

はるまきごはん(以下、は):はいどうも~、はるまきごはんです(バーチャルYouTuber風)

し:この対談企画をやろうと思ったきっかけを話すとですね、干菓子さん(@east_sha2) という大好きなイラストレーターさんが、noteで色んなイラストレーターの人をお呼びして対談されてて。好きなクリエイターさんのぶっちゃけ話を聞く機会ってそんなにないから、ボカロでも好きなボカロPさんのぶっちゃけ話を聞けるのは楽しいんじゃないかと思い、始めた次第ですわ。

※ひがし | note

は:なるほど。

し:今回の対談のテーマは「創作の原点と影響を受けた音楽」なんだけど、はるまきくんってなんでボカロ始めたの?

は:うーんなんだろう…。結論から言うと、ボカロを始めたきっかけとかはないかな・・・。

し:えっ、そうなの?

は:ないっていうのは、ちゃんと理由もあるよ。わりと初期にボカロを始めた人って、元々音楽やってて、ryoさんやkzさんの曲を聴いて「ボカロ面白そうだな。ボカロやってみようかな」って始めた人が多いらしいんだけど、はるまきごはんはその時小学生とかだから。

し:マジで!?俺らってそんな歳離れてたっけ(笑)

は:そうそう。ボカロ発売時ははるまき少年は普通の小学生だったから。中学に入ってパソコンを買ってもらって、その頃からニコニコ動画を見だしたんだよね。

し:はるまき少年が中学ってことは、2010年くらい?

は:DECO*27さん、wowakaさん、ハチさん達が流行り始めた時代にボカロを聴き始めた。だから当時の自分にとってボカロは「新しいものが出てきた」じゃなくて「いっぱいある音楽ジャンルの中の一つ」として最初からあったものって感じだったかな~。

▼ハチ MV「マトリョシカ」HACHI / MATORYOSHKA(YouTube)

し:へ~そうなんだ!じゃあ中学校とかでボカロは一般的なものだったの?

は:いや!今よりもむしろオタク系の人間への偏見が強かったと思う。だからやっぱ、オタクは息をひそめていたというか、まだ閉塞的だったような。だけど、中学生はるまきごはんのように家に帰ってインターネットを見ていた人にとっては、ボカロは普通にひとつの音楽ジャンルだった気がする。

し:俺らって6歳くらい離れてるんじゃん?俺の場合は、初音ミクが出た時って大学生の時だったから、ボカロは革新的なツールとしての認識が強くて。だからオタク文化の中でも更に新しい文化だったわけで。話聞いてて世代ギャップがすごすぎることを感じた(笑)

は:そうだよね(笑)音楽を聴き始めた時にボカロがあった人となかった人とで、ボカロに対する見方って違う気がする・・・。

 

▼漫画家になりたかった

し:初めて聴いたボカロ曲ってなに?

は:たぶん「初音ミクの消失」だった気がする。

▼初音ミクオリジナル曲「初音ミクの消失-Long Version-」歌詞付き(YouTube)

し:懐かしい(笑)

は:もう既に数年前とかに投稿されてたのを聴いたんだけど、めっちゃ好きだった。あの曲って多分、初音ミクが壊れちゃってエラーとか起きてヤバいから、あの1曲の尺の中でマスターに伝えたい想いを伝えるためにめっちゃ早口で喋ってる歌、って思ってる(多分)。それが中学生の自分にすごい刺さったというか・・・。

し:ボカロ聴き出す前は何聴いてたの?

は:FUNKY MONKEY BABYSとかGReeeeNとか聴いてて、その後BUMP OF CHICKENとRADWIMPSとボカロを同時くらいに聴き始めた。要は音楽に「闇」成分的な、ちょっとひねくれた成分を求め始めて、BUMP OF CHICKENとかRADWIMPSとかと一緒に、ボカロとかその辺を聴き始めたんだよね。

▼BUMP OF CHICKEN『天体観測』(YouTube)

し:その時のはるまき少年は何やってたの?

は:野球やってた(笑)

し:(笑)

は:あと絵を描いてたかな~。小学校の頃から漫画家になりたかった。最初は自由帳に鉛筆で描いてて、中学の頃からちゃんとした原稿用紙みたいなのに描き始めて・・・。それで中2くらいまではずっと漫画家目指してたんだけど、中3くらいでパソコンでデジタルの絵を描くようになって、pixivとかに載ってるイラストレーターさんの絵にハマって、そこから1枚絵を描くようになった。

し:当時ってpixivが流行り始めた頃だったもんね。

は:だから最初はお絵かきマンとして、はるまきごはんアカウントは誕生したんだよね。で、話を戻すけど、「ボカロ始めたきっかけはない」って言ったじゃん。ボカロをはじめることが自然すぎて、◯◯だからボカロを使った、みたいな理由が無いってかんじかなあ・・・。でも、音楽を始めた理由はあって、絵を描いていたらもっと沢山の人に絵を見て欲しいと思うようになって、じゃあ音楽と一緒に絵を投稿してみよう!ってなった。

し:逆なんだ!

は:そうそう!それが「WhiteNoise」っていうニコニコ処女作。それで音楽やるってなった時に、歌モノ好きだったから歌モノやりたくて。当時、東方ボーカルにもハマってて女性ボーカルの曲に憧れてたから、自分の声はなんか違うなってなった(笑)それで自然と初音ミクって選択肢があったような。特別ボカロを始めよう!って意気込んだわけじゃなくて、すごく自然な流れでボカロの世界に入っていったんだよね。実はミクの前に重音テトで遊んでたりもしたし。

し:えっ、そうなの?聴いてみたい(笑)初めて作曲したのがテトの曲?

は:いや、作曲という面で言ったらずっと前からやってたな~。1枚の紙に歌詞書いて、カセットテープに自分で歌って録音するみたいなやつ。小学校の頃からそうやって遊んでた!

し:じゃあ楽曲を作るって経験はわりかし昔からやってたんだね。

は:あくまで遊びだったけどね。中3くらいからはピアノの先生から貰ったアコギで弾き語り作曲とかもしてた。

し:アコギ一本で作るのと、DAWで作るのとでは、また全然勝手が違ったでしょ?

は:そうそう。初めて使ってたDAWがドミノ(正確にはDAWとはいえないかも・・・?) だったんだけど。ドミノに入っているMIDI音源とかが最初の編曲の武器になるわけじゃん。最初はみんなこれで作ってるの!?って思ってめちゃビビったんだけど・・・。そこからCubaseに乗り換えた時に、編曲の世界広がりすぎてワールドワイドだった。めちゃくちゃ色んな種類の音が入ってるから、それが楽しくて、高校入ってすぐ野球部を辞めて本格的にDAWで作曲を始めた感じだったかな~。

 

▼「銀河録」以降の広がり

し:最初は絵が主だったはるまきごはんが音楽にハマっていったのって、ボカロ上げ出して結構後々になってから?

は:いや。「WhiteNoise」の次に上げた「アメハヤマズ」の時には既に音楽の方に傾いてた。音楽めっちゃ楽しかったし、予想以上にたくさん聴いてもらえてたんだよね。当時は1,000再生とかだったんだけど、1,000回も自分の曲が再生されたのが嬉しくて。「アメハヤマズ」は処女作より更にたくさん聴いてもらえたんだけど、ナブナさんがこの曲からTwitterでフォローしてくれた記憶が・・・。

し:!?!?その時既に!?!?

は:あの頃のナブナさんはメジャー1stアルバムの前くらいで、自分はその時のボカロシーンをあんまり知らなかったんだけど・・・。それを機にナブナさんの「カーテンコールが止む前に」(2014年)っていう同人アルバムを買ったらめっちゃ良くて好きになって・・・っていうのを繰り返して、今のボカロシーンの人たちの曲を聴いていくうちにボカロすごい楽しいかっこいいってなった。

▼【初音ミク】 ウミユリ海底譚 【オリジナル曲】(YouTube)

し:めっちゃ分かる。こういうの作りてえ!とかね。それが2014年か。俺らボカロ始めたの同時期だもんね。

は:そうそう。それで次に「ラストライト」って曲を出したら、ロー生ライトさんっていう歌い手さんが初めて歌ってみたしてくれたり・・・。初めて1万再生いった曲でもあるし、そのへんからもう楽しくて完全に音楽メインになっちゃった。

し:1万再生なんてさ、最初は全く想像できなかったよね。

は:この時期の「1万再生超えた!」っていう達成感に勝るもの、なかなかないよね・・・。1万回っていう数字って、普段暮らしてたらなかなかないし。

し:はるまきくんに出会ったのって「アイロスト」くらいだった気がする。

は:そうそう。「アイロスト」は未だに新鮮な感じがする。自分が作った感じがあんまりしないような・・・。数字で言えば、今でこそ「八月のレイニー」は7万再生くらいして貰えてるんだけど、投稿当時は1万再生いかないなぁ~ってくらいだったな~。

▼八月のレイニー - August Rainy / はるまきごはん feat.初音ミク(YouTube)

し:懐かしすぎる…。

は:当時は数字の目標はあったけど、それよりも音楽を勉強している感覚に近かった気がする。DTMのことも何もわからないし、せめて前の曲よりも良い音源にしたいってめっちゃ思ってた・・・。それは今でも変わらないけど。

し:そこから2016年1月の「銀河録」で一気に伸びたよね。

▼銀河録 / はるまきごはん feat.初音ミク(YouTube)

は:「銀河録」も、そういう流れの中でたまたま出来ただけで、まさかこんなに認知されると思わなかったし。その頃の目標が1,000マイリスだったんだけど、一気に4,000マイリスまでいって、殿堂入りもして、インターネットヤバイな~って思った。次作の「カルデネ」も殿堂入りしたから、「銀河録」より前とは環境も、感じることも、変わったような・・・。その直後にそらるさんにはるまきごはん初の楽曲提供というものをしたり、「銀河録」以降の広がりはすごかったと思う。

し:それで思い出したけどね。俺さ、以前フォロワーさんから「殿堂入りして何か生活が変わりましたか?」って質問をいただいたんだよね。さすがにそこまではないよね(笑)

は:さすがに生活までは変わらなかった(笑)でも友達はめっちゃ増えたかも。フォローしてくれる人が増えたり・・・。

し:あの頃、はるまきごはんは毎日のようにTwitterで誰かに挨拶していた記憶がある(笑)

は:たしかに!それ「ドリームレス・ドリームス」の時もそうだった(笑)

 

▼「悲しい」という表現にはパッド1個だけでいい(ような気がする)

し:自分の作風で影響を受けたアーティストってやっぱバンプ?

は:うーんそこ実はあんまり分かってない・・・。でも、編曲の感じとかはバンプとかになってくるのかな。

し:確かに。クランチギターの感じとかね。

は:そうそう。はるまきごはんの曲が邦ロックの形をしているのは、結局邦ロックをたくさん聴いてきたからだと思う!メロもバンプにそれなりに影響を受けてるはず。あとamazarashiも多分入ってる。サビの感じとかはGReeeeNにも影響受けてると思うんだけど、でもGReeeeNの話をすると「絶対それはないだろ」って言われる。

し:(笑)でもこの話は聞く人にとっては新鮮かも(笑)邦楽以外も聴くの?

は:いや、洋楽とかはあんまり聴かない。Skrillexとかは聴くけど・・・、洋楽ポップスとかはあんまり聴かないかな~。HIP-HOPなら洋楽とかも少し聴くかも。

し:え!?意外だな。例えば誰?

は:いやでも誰とかあんまりなくて、切ない系の有名なやつをちょっとだけ・・・、例えばEminemの「Beautiful」とか「Mockingbird」みたいな。

▼Eminem - Beautiful(YouTube)

し:懐かしいな。

は:いやでもさ、はるまきごはんのドラムって結構ヒップホップ入ってると思うんだけど・・・。

し:え、そう?(笑)

は:さすがに「コバルトメモリーズ」とかにはないけど、今回のミニアルバム(「SLEEP SHEEP SUNROOM」:2017年)のゆっくりな曲とかは、打ち込んでるグルーブがヒップホップ寄りだし、歌詞の言い回しもラップ調だったりすることがある気がする。

し:自分が秋ボーマスで企画したAIコンピ(「One Room Industry 4.0」:2016年)に、「Null」って曲を書き下ろしてくれたじゃん?アレとかそんな感じだね。

は:「Null」はヒップホップとアンビエントの融合だと勝手に思ってる!そういえばアンビエントも中学頃からずっと聴いてる。でもアンビエントも、誰とかじゃなくて、YouTubeとかのアンビエントの音楽チャンネルの動画を、アーティスト名を気にせずバーッて聴いて気に入ったら再生リストに入れたりしてる。

し:曲の構成とか編曲とか勉強になるよね。

は:うーんでも勉強というよりは、好きで聴いてるって感じかな~。J-POPも好きだし邦ロックも好きだけど、切ないとか悲しいとかって感情を100%純粋に表現できる音楽はアンビエントだと思う。極論、悲しいっていう表現はパッド1個だけで表現できる気がする・・・。本当に悲しいとき、自分の中でドラムが鳴ったりしないから、はるまきごはんの中ではそういうことになってる。その上ではるまきごはんがパッド以外の楽器を使うのは、やっぱり1曲の中にも色んな感情を沢山詰め込みたいし、それが自然だと思うからかな!

し:さっき話してた「悲しいっていう表現はパッド1個だけで表現できる」というのは、「Null」がまさにそんな感じかもね。AIコンピ企画した時に、はるまきごはんどういう感じでくるのかな?って楽しみにしてて。その前の秋ボーマスであった「百鬼夜行」 (2015年)ってコンピで、はるまきくんが書き下ろした「サイレンは彼方より」って曲がめちゃくちゃ好きで、超はるまきごはん節でさ。あんな感じでくるのかな?って思ったら「Null」が全く違う感じでめちゃビビった。

は:コンピに収録する曲は動画サイトに投稿しないっていう謎の流儀があった(今はない)。

し:確かにコンピ収録曲って「誰が投稿するんだろう…この人投稿しそうだな…」みたいな探り合いあるよね(笑)

は:コンピとかではキラキラでかっこいい曲って感じではなくて、ザ・アルバム曲の役をやりたいっていう願望があるなー!(笑)

■【対談】はるまきごはんの創作の原点と影響を受けた音楽【前編】

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